学校法人向け(私/公立小学校・中学校・高校)の個別学習支援サービスを提供するスクールTOMAS
通称「渋幕」と呼ばれる、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(以下、同校)は、千葉県千葉市にある共学の中高一貫校です。1983年に高校、86年に中学校を開校して以来、着実に進学実績を伸ばしてきた全国でも屈指の進学校。同校の特徴は、東大をはじめとする国内難関大学のみならず、ハーバード、オックスフォードなど海外の名門大学への合格者も輩出し、グローバルな進学実績を誇っている点です。
このようなことから、国内の優秀な生徒だけでなく、海外からの帰国生にも注目されている同校では、帰国生のサポートを目的のひとつに、スクールTOMASが提供する学習支援システムを導入しました。有数の進学校である同校がこのシステムを取り入れた狙いはどこにあるのか、同校の教頭を務める菅野諭先生にお話をうかがいました。
同校が最も大切にしている教育目標は「自調自考」。生徒を「自らの手で調べ、自らの頭で考える」ことを通じて、何事もあきらめず、積極的に取り組むことができる人間に育てたいという狙いです。「自調自考」の一例として、同校ではチャイムが鳴りません。そのため、日常的な学校生活では、生徒は自分で時間をコントロールする必要があります。また校外行事は、バスなどでの一斉移動ではなく、現地集合・現地解散。生徒たちは、目的地に行くための交通機関や方法を自分で考え、行動するのです。
菅野先生は、こう話します。
「このようなことを積み重ねていく中で、生徒たちの自律性が育っていくのです。日常生活に限らず、私たちは、生徒たちの主体的な動きや、いろいろな力を引き出すための体制を整えています。たとえば、外部で実施している試験を受けたい、コンクールに参加したいという生徒がいれば、しっかり支援もしていきます。私たちの目標は、生徒たちをいい大学に入れることではありません。『生徒たちがどのような人生を作り上げていくか』、ということです。そのために私たちはさまざまな取り組みを進めてきて、生徒たちはそれをしっかりと受け止めてくれました。進学実績は、あくまでもそのひとつの結果だと思います。」
そしてもうひとつ同校が重視しているのが「教養豊かなグローバル人材の育成」。その方針のもと、開校以来、同校では積極的に帰国生を受け入れ、現在では1学年あたり1割ほどの帰国生が在籍しています。学習や学校生活での困りごとについて、帰国生の上級生が下級生に学習についてアドバイスをしたり学校での経験を伝える「帰国生交流会」や、帰国生の保護者会を開催して家庭での悩み、心配事の解決に取り組むなど、帰国生をサポートする体制、支援の仕組みも充実しています。このようなサポート体制や、生徒の自主性を大切にする教育方針などで、同校は帰国生からも高い人気を集めているのです。では、このように帰国生を積極的に受け入れる理由はどこにあるのでしょうか。
「海外生活を経験している生徒の発想はとても斬新で、魅力的です。海外と日本文化の両方に理解があり、それぞれの違いを尊重する態度を持っています。外国語と日本語という言語だけではなく、自分の生き方にも異文化を上手に取り入れることができます。私たちは、そのようなことが本来の『バイリンガル』だと考えています。そしてまた、海外経験がなく、日本で生まれ育った生徒であっても、バイリンガルな人間になってほしいと考えています。そう思ったとき、帰国生は、一般生に非常にいい刺激を与えてくれる存在なのです。」(菅野先生)
このように、同校の目標である「グローバル人材の育成」のために大切な存在である帰国生ですが、一方、帰国生ゆえの課題もあり、そのひとつが学習に関することです。
「帰国生の中には、日本語が十分ではないために、教科書の内容や先生の言っていることがよくわからないという生徒もいます。また、滞在していた国によって進度や学習内容に差があるため、日本の生徒はわかっていることでも、帰国生にとっては未知のことがあったり、その逆の場合もあります。しかし、ひとつの教室で個別に対応をするのは効率がよくない。どうしても一斉に授業をするために、生徒間の足並みを揃える必要があります。」(菅野先生)
同校では、先生が放課後に指導をしたり、授業形式の補習を実施するなど、さまざまな取り組みを進めましたが、納得のいく効果は必ずしも得ることができませんでした。帰国生の学習状況は、まさに千差万別。的確な指導のためには個別対応が理想ですが、先生が一人ひとりの指導をするのは効率的ではなく、かと言って授業形式で進めては、個別対応が難しいというジレンマがあったのです。
そこで、帰国生のサポートのために検討を進めたのが、AI学習システムを取り入れた学習支援システムを提供している「スクールTOMAS」との協働でした。
スクールTOMASで活用するAI学習システム(atama+)は、膨大なデータを元に、生徒自身も気がついていない弱点を分析。その克服のために、生徒一人ひとりに最適なカリキュラムを作成してくれます。
「スクールTOMASさんとの協働プログラムについて関心を持ったのは、まずひとつが、個人差が大きい帰国生であっても、AI学習システムを活用することで個別の対応が可能になること。そしてもうひとつが、AIだけに頼ることなく、生徒一人ひとりに対応した、対面の講師による個別指導をしていただける点です。この方法は、帰国生の指導に非常にプラスになると考えました。」(菅野先生)
成績の差が出やすいのは英語と数学と言われますが、帰国生は英語力については問題ありません。一方の数学は「積み上げの科目」と言われ、つまずきを解消しないと次の段階の理解が難しくなってしまいます。そこで、まずは試験的に帰国生を対象に学習支援システムの導入に取り組み、効果検証を進めていくことになったのです。
スクールTOMASによるatama+特別講座に参加している生徒たちは、学校のカリキュラムに合わせて組まれたatama+の教材を使って学習を進めていきます。パソコンやタブレットがあれば、場所や時間を問わず、生徒は自分のペースで勉強できます。学習内容は、生徒一人ひとりの理解度によって異なります。そして学習を進めていく中で、生徒がつまずいている箇所をAIが見つけ、そこに立ち戻って理解が進むよう、カリキュラムを組み直します。これによって、生徒は自分のつまずきを自分で解決できるという仕組みです。
そして週に一度、スクールTOMASの講師による50分のコーチングが実施されます。ここで生徒たちは、atama+での学習に取り組みながら、自分では解決できなかった問題や、不明点などを講師に直接質問することができます。一方講師のタブレットには、生徒一人ひとりの進捗状況がリアルタイムで送られてくるので、それを見れば生徒がどこで詰まっているのか一目瞭然。生徒からの質問が出る前に、指導を進めることができます。通常の個別指導であれば、先生が一人ひとりに疑問点を聞きながら、質問を受けたり指導をするため、効率面でどうしても制約が出てしまいますが、atama+を活用することによって、対面の講師による個別指導もスムーズに進みます。
ではこの取り組みによって、生徒たちにどのような変化があったのでしょうか。
「通常、3学期に入ったころ、帰国生から『学校の授業についていけない』と不満が出始めるのですが、今年はそれがあまり聞かれません。数学は積み重ねの学習内容なので『ここがわかるように頑張れば、何とかなる』という見通しが立ってきたのかもしれませんね。テストの点数が伸びるなど、具体的な成果につながるにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、総じて『勉強しよう』という意欲が高まっているように思います。私としても、勉強がわかることで学校に来るのが楽しくなるという生徒がさらに増えることに期待しています」。(菅野先生)
また、帰国生の保護者からの関心も高い、と言葉を続けます。
「多くの保護者は、やはり大学進学のことを考えて、早くいい成績を取れるようになってほしいと考えておられます。その点で、スクールTOMASによる学習支援システムを利用すれば、効率的に弱点を克服していけるということで、保護者の関心も高いですね。」
一方、実際にスクールTOMASを受講している生徒たちはどう感じているのか。中学1年生の熊谷陸さんと濱詩子さんにお話を聞いてみました。
まず、海外と日本での学習については、2人ともギャップを感じていたと言います。
「日本の学校は本当に進み方が速い。入学してみて『これは困ったな』と思いました。」(熊谷さん)
「数学は苦手で……。海外では同じ単元を3回くらいやって、わかった気になっていましたが、今回atama+をやってみて、身についていないことがわかりました。」(濱さん)
次に、スクールTOMASの学習支援システムを利用しての感想を尋ねると、
「自分がわからないところを、しっかり教えてもらえます。あとatama+は、点数が出たりとゲーム感覚で勉強できるので、点数が悪いと悔しくて、無限に勉強してしまいますね(笑)。その結果、勉強時間も増えて、1学期に比べて2学期は、数学の成績がよくなりました。」(熊谷さん)
「いまやっている問題のほかに、過去にさかのぼって診断してみたら、小学5年生の内容が今の自分がつまずいている要因になっていることがわかりました。ここをきちんとやらないと、これから先はもっと数学がむずかしくなるので、しっかりやっておきたいです。」(濱さん)
atama+と個別学習指導を組み合わせたスクールTOMASの学習支援システムは、帰国生のモチベーション向上に大きく寄与できているようで、これからも積極的に利用していきたいと、次のように意気込みを語ってくれました。
「授業の内容を先に勉強しておけるので、授業の理解度があがりました。問題集で授業の予習をするのは難しいけれど、スクールTOMASで勉強することで、授業の前に基礎を理解して、そこからスタートできます。これからもスクールTOMASは続けて行きたいです。」(熊谷さん)
「スクールTOMASの利用日に合わせて、自分がわからない点を確認しています。atama+も個別学習指導も自分の勉強に役立つものなので、これからもどんどん利用していきます。」(濱さん)
海外の大学への進学希望者が年々増加するなど、グローバル化が加速する環境の中で、帰国生が一般生に与える影響は、今後ますます大きくなっていくでしょう。そのような状況にあって、今後進めていきたい帰国生教育について、菅野先生は、個人的な考えですが、と前置きして次のように話しました。
「入学して間もない、中学1、2年生がどのように学校生活を始めるのか、しっかり見てあげることが大切だと考えています。帰国生は日本語がまだ十分ではないために、ホームルームなどで先生の話がよくわからないということが少なくないのです。そうなると、どうしても学習意欲にも影響が出ます。そこで、学校生活がスタートする時期に、彼らが安心できる英語環境の中で、個別に面談をしたり、アドバイスができるような仕組みができればと思っています。中学1、2年の大切な時期を、しっかりと個別でサポートできる方法をこれからも模索していきたいですね。」
一人ひとりの生徒が、自分の能力を存分に発揮できる環境づくりに力を注ぎ続ける渋谷教育学園幕張中学校・高等学校。帰国生、一般生問わず、これからも多くの生徒を引きつけていくことでしょう。
進学個別指導塾TOMASのノウハウをもとに、主に私立中高一貫校の学校の中に学校内個別指導教室(学校内予備校)を提供し、生徒一人ひとりの個人差に合わせた徹底指導による学習支援を行っています。
学校内の自習室の管理を、スクールTOMASの社員・講師を派遣することによって、質問型個別指導+カリキュラム型個別指導を行います。質問型個別指導では、学校の授業を確実に理解させ、生徒の自学自習を確立させる学習支援を行います。学習相談を行う社員や質問対応を行うチューターが常駐し、一人ひとり独立した個別ブースの自習室の利用、休憩用のカフェテリアの併設など、生徒が必要とする学習環境を提供しています。
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